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レッテル 2

第15章 疑いと手枷


「で、秋本どこ行ったんじゃ?浮気…そりゃ逆ジャな。」

玄関の上がり口に腰かけた善司が、煙草を吹かしている。

「………。」

本当の事を言うべきだろうか。
言って良い方向へ進むとは限らない。
むしろ、悪い方向に進む気がする。

――彼が宗次郎さんなら素直に言えるのに。

ジッと善司を見た。

「……今、ワシが宗次郎だったら良いのにと思ったジャろ?」


ギクッ――


なんで今日は感が鋭いのだろうか。

「安心せぇ。嬢ちゃんには何もせんわ。西条会の事で迷惑かけたからな。」

そう言った善司の口と鼻から煙草の煙が出ている。


でも言えるはずがない。
清治君の事がバレてしまうから。
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