第15章 疑いと手枷
「はぁ?んなもんしてねぇよ!!証拠はあんのかよ!?ねぇのに連れていけるわけねぇだろ!!お前等は!!」
誠也君は立ち上がろうと必死にもがいている。
「そんなの、別件で連れていけば良いだけの事だ。クズは所詮クズ。本当に頭が悪いな。」
橋田の口角が高くつり上がる。
「クズはどっち!?アンタにされたこと、いまだに忘れてない!!」
ギュッと拳を握って橋田を睨み付ける。
すると、橋田の顔が汚ならしく歪んだ。
僅かに汗が垂れている。
「と…とにかく連れていけ。」
焦った橋田が逃げるように玄関を出た。
連れていかれる彼の腕にかけられている手錠。
ドサッ――
床に座り込むあたし。
溢れてくる涙。
走り去るパトカーのサイレンの音を聞かずに、子供のように泣いた。