第15章 疑いと手枷
「離せ!!」
台所で料理を作っていると、彼の叫び声が聞こえてきた。
慌てて火を止め、ダイニングを飛び出した。
「誠也君!!」
玄関の方を見ると、床に彼が押さえつけられている。
それも見覚えのある人達。
警察だ。
フラッシュバックしてくる夏の記憶。
手錠をかけられた彼が連れていかれる姿。
そして、ニヤニヤと笑う橋田の顔。
汚ならしい行為。
思い出しただけで、吐き気がした。
口元を押さえる。
震えが止まらない。
「お前は次々と問題おこすな…次は、レ●プか?」
声と共に玄関の扉が開いた。
入ってきた人物に目を疑う。
橋田だ。
あの時と変わらない風貌で汚ならしく笑っている。