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レッテル 2

第15章 疑いと手枷


「加川さん、そいつどこに住んでるか分かります?」

"あ――…ちょっと待てや。"

そう言って遠退く加川と言う名のチンピラの声。

(兄貴、秋本いう奴の家知ってますか?)

(なんでや?)

(いや、知りたい言う奴がおりまして……)

(吉光の二丁目の青い屋根の倉庫のある家だ。)

(すんません、ありがとうございます。)

小さく聞こえてきた会話。
足音が近付いてくる。

"吉光の二丁目の青い屋根のある倉庫の家や。"

「わざわざすいませんでした。」

"べつに。それより、今月もちゃんとシノギを払えよ。"

「はい。」

プチッ――

そこで切れた通話。

「クッ…ククク。」

不気味に笑い出す進藤。

「カズ?どうした?」

皆が彼を見ている。

「良いこと思い付いた。」

まだ笑っている。

「なにが?」

皆が首を傾げる。

「お前等役に立てよ?」

「うん!!」

進藤の言葉に女達は力強く頷いた。
それはいつもの光景。
彼女達は利用されていることは分かっていた。
だけど彼から離れられない。

強いものにすがって他の女よりも良い位置にたって優越感に浸りたい。
ただそれだけの理由で言うことを聞いていた。
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