• テキストサイズ

レッテル 2

第14章 喧嘩の渦


「は?なんだよそれ?」

まとわりつく女達を振り払いながら不機嫌そうな彼の声が聞こえてきた。

でも、聞こえないフリをした。

あたしは彼が大好きだ。
世界で一番愛している。
だからこそ、彼には幸せになってほしいのだ。
あたしといると、いつも迷惑かけるだけだから、いない方が良いのかも知れない。

卑屈だなあたし。

ただ最後まで彼にいいように見られたいだけ。

本当にバカな女だとつくづく思う。


「つーか本当に誰だよこいつ等!?」

離しても離しても彼に近付いてくる女達。
まるで彼女達は幸せそうで、もうここには居たくない。

背を向けて走り出そうとするあたし。
涙を見られないように、必死で溢れるのを堪える。

ガシッ―――

すると掴まれる腕。
彼とは違う感覚。

「よくわかんねーけど、このままじゃ胸くそ悪いから言っとく。」

振り向くと真剣な顔をした清治君がいた。

「…コイツ等進藤の取り巻き。喧嘩を吹っ掛けるのに女使うのは奴の十八番。……きたねぇ奴なんだよ。」

「……え……。」

思わず声が出た。
彼の言う通りなら、もう少しで罠にかかるところだったのだろうか。
清治君の顔を見ると、嘘をついているようには見えない。

要するにあたしは勘違いをしていたのだろうか。
でも、彼を信じなかったのは事実。
一緒にいる資格なんてない。


"資格なんて関係ねぇ"


彼はそう言っていたけど、付き合うのに相手を信じれなくなったら終わりだ。


だから理由がなんだろうと、もう終わりするべきだ。


/ 542ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp