• テキストサイズ

レッテル 2

第14章 喧嘩の渦


「ごめん……もう――。」

「だから、意味わかんねぇっつってんだろうが!!"さよなら"ってなんだよ!?俺、お前に悪いことしたか?そりゃあ…無視した事は反省してる!!だけどよ、やましいことなんて1つもねぇんだよ!!こんな妖怪なんか、興味ねぇよ!!俺が興味ある女は"朝日桜"……お前だけだ。」

大きな声でハッキリと言った誠也君。

「あたし達が妖怪?」

女達の顔が歪んだ。

「…恋愛とか意味わかんねぇ。」

清治君はあたしから手を放した。

「だから……行くんじゃねぇよ。」

先程とは打って変わって吐き出される小さな声。

今まで何回こうして喧嘩をするたびに仲直りしてきたのだろうか。
いつも謝るのは彼。
悪いのはあたしでも、必ず彼が謝る。
それに甘えてきたあたし。
とんだワガママ娘だ。

「ごめん……。」

だから、今度はあたしが謝る。

「なにが?」

けれど、彼は不思議そうな顔をした。

「疑ってしまったから…。」

俯きながら小さく答えた。

「…そんなん気にしてねーよ。」

「え?」

聞こえてきた声。
思わず顔を上げた。

「お前がいなくなる方がずっとつれぇんだ。」

そう言った彼の顔は優しかった。


/ 542ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp