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レッテル 2
第14章 喧嘩の渦
けれど誰もいない。
――気のせい?
そう思いながら前を向く。
「……どうした?」
前を向くと、立ち止まった彼がジッと見ていた。
ドンッ―――
歩く足を止めなかったあたしは、ついつい彼とぶつかってしまった。
決してわざとではない。
たんなる不注意だ。
「……ごめん。」
小さく謝るあたし。
「気にすんな。」
彼はそう言うと前を向いた。
それ以上会話は続かない。
それどころか、会話として成り立っていない。
ギュッと鞄を握る手に力が入った。
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