第14章 喧嘩の渦
トボトボと歩くあたし。
いつもならスーパーからそんなに距離がない筈なのに、帰り道が長く見えるのは気のせいだろうか。
先程から足がやけに重く感じる。
ガサッ――ガサッ――
静な道には、彼等が持つ買い物袋の揺れる音が響いていた。
「……。」
何か話して欲しいのに黙っている彼。
自分から話せばいいだけの事だけど、口が開けない。
まるで縫われたかのように、口がこわばっている。
それもそうだが、なんだか後ろから気配がした。
後をつけられている時の感覚。
自分の中にある"女の勘"が働いている。
あたしは恐る恐る振り向いた。