第14章 喧嘩の渦
「かして。」
袋に買ったものを入れると、彼が買い物袋を手に取った。
「……。」
清治君も黙って手に取る。
そして、スーパーを出る。
結局、3つの買い物袋は彼等の手に。
買い物に寄ると言った自分は手ぶらだ。
「……ありがとう。」
小さく呟くように言うあたし。
あたしの声は聞こえているだろうか。
「……気にすんな。」
振り向かずに前を歩く彼が不器用に言った。
あ…忘れてた。
イライラしていた事で冷静に慣れなかったあたし。
そういえば彼は口が不器用だったんだ。
だから、上手く言葉が言えないんだ。
そう思うことで、少し安心できた。