第14章 喧嘩の渦
静かにする買い物。
なんだか寂しくて、玉ねぎの袋を握る手が震える。
彼に気付かれないように、あたしは急いでそれをカゴに入れた。
"一応"
先程から、彼の言葉が頭に何度も木霊している。
"本当は来たくないけどしょうがなく来てやってる。"
彼はそう思っているのだろうか。
それなら、ついて来ないでほしい。
一人で買い物して帰った方がマシだ。
苛立ちを感じながら素早く買い物を済ませる。
「3,625円です。」
「……ん。」
会計でお金を出そうとしていると、彼が横からお金を店員に渡した。
一体この人は何がしたいの?
いやいや買い物に付き合ってくれてるんじゃないの?
彼が分からなくなってきた。
いや、彼どころか"男"そのものが分からない。
考えが理解しがたい。
難しい問題だ。