第14章 喧嘩の渦
「……そこに寄るから、先帰ってて。」
ダチと別れた後。
3人で帰っていると、スーパーの前で彼女が言った。
いつもなら、一緒にする筈の買い物。
心が虚しくなる。
「いや、俺も一応行く。」
素っ気なく答える俺。
"一応"ってなんだよ。
素直に、"心配"って言えよ。
バカヤロー。
「……そっか。」
彼女は一瞬辛そうな顔をすると、スーパーに向かって歩き出した。
その後ろを少し離れて歩く俺と清治。
この距離が辛くて胸を締め付ける。
スーパーの中に入って買い物カゴを持つ彼女の姿はまるで"主婦"。
誰の?
そう考えれば何故か他の男の顔が浮かんでくる。
――重症だ。
俺は頭を抱えた。