第14章 喧嘩の渦
「俺一人でも余裕だったんだけど。」
同じく、手の甲に血を張り付けた清治がボソリと言った。
「喧嘩は一人でするもんじゃねーっての。」
「そうそう。」
首をボキボキ鳴らす清に、ヘラヘラと笑っている翔。
「こいつらも、死鬼の奴か?」
拓は、倒れた男達をジロジロと探るように見ている。
「だろうな。」
頷く俺。
――それよりも、彼女の方が心配だ。
と、の方へ目を向けるが、
「……。」
一瞬だけ目があっただけで、直ぐに反らされた。
ズクン―――
痛む胸。
どんな痛みよりも、彼女に嫌われる事が一番辛い。
そっと彼女から顔を反らした。