第14章 喧嘩の渦
ヴォンヴォンヴオン―――
帰る途中。
今日はやけにバイクの音が聞こえる。
それも一台ではなく、何台ものバイクの排気音が重なっている。
「あー、うるせぇ。つーか音が被ってきたねぇ、下手くそなのにコールすんじゃねーよ。」
西村先輩が耳をふさぎながら言った。
音が被っているの意味は分からないが、確かに綺麗な音とは言えない。
例えるなら、喉を痛めた時に出るようなガラガラな声。
「また、新しい族できたんじゃね?」
「あー……かもな。」
後ろで先輩達が話している。
けれど、彼の声は聞こえてこない。
黙りこんでいるようだ。
…って、何であたし彼の事気にしてるの!?
関係無い、全然関係無い事だ。
「どうかした?」
ブンブンと顔を振っているあたしを、藤崎先輩が不思議そうに見ていた。
「い…いえ、なにも。」
なんだか恥ずかしくなってうつむいてしまった。