第2章 命の灯火
一週間後。
「食えるか?」
個室のベッドの上にいるあたしに彼が問う。
「うん。」
あたしは笑顔で答えた。
綺麗に切られたリンゴ。
何故かウサギさん。
なんだか笑ってしまった。
「……お前が好きかと思ってよ。」
果物ナイフを持った彼が、あたしから顔を反らした。
頬をほんのり桃色に染めて。
「兄貴、なに赤くなってんだよ?」
彼の隣に座っている勇人くんが彼を不思議そうに見ている。
「っせぇ、なってねーよ。」
そういいながら彼はナイフをしまった。
あれから色んな人がお見舞いに来てくれた。
ママや棗はもちろん。
千加達や松崎君達、先輩達に極使天馬の兵隊さん。
宗次郎さんや白川、極道の方々も大勢。
何故か江田兄妹、藤堂さんまで来た。
一番驚いたのは白石が来たこと。
また"愛している"と言われた時には、怒る誠也君をなだめるのに大変だった。
でも、
"色んな人に支えられて生きている"
そう思うと、生かされた事に喜びを感じた。