第2章 命の灯火
「ッ―――」
目を開くと医者らしき男の人が視界に入った。
それと同時に聞こえてくるガラスを叩く音。
ゆっくりとそちらへ目を向けた。
「あ……。」
彼だ。
涙を流しながらジッとこちらに向かって叫んでいる。
「奇跡だ……。」
医者が呟いた。
ママや棗や宗次郎さんや先輩達…いろんな人達があたしを見ている。
――あぁ…戻ってこれたんだ。
自然と涙が目からこぼれ落ちた。
「 !!」
いつの間にかドアの所に立っている彼が、ガラガラの掠れた声であたしを呼んだ。
「せ……やくん。」
ゆっくりとそちらを向く。
「良かった――。」
彼はあたしの所まで来ると、ギュッと力強く抱き締めた。
あたしも彼を力の入らない手で必死に抱き締める。
やっとに触れることが出来た。
ありがとう…上田さん。
ゆっくりと目を閉じた。