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レッテル 2

第14章 喧嘩の渦


「誠也ちゃん。そんなに彼女と喧嘩すんなら、桜ちゃん俺にちょうだい。」

冗談か本気なのかわからない笑顔で、言ってはいけない言葉を吐き出した三善。


――こいつ、終わったな。


3人はそう思いながらそっと手を合わせる。

「お前……。」

誠也の口から小さく吐き出された言葉。
低く唸るような獰猛な声色。
完全に怒りを含んでいる。

「へ?」

三善は、間抜けな声を出した。
けれど、状況はまだ理解できていない。
"さすが一位だ"と誰もが思う。

ガシッ―――

「殺す。」

鷲掴みされた三善の髪。

「………。」

三善の額からタラリと汗が垂れた。
ようやく空気が読めたらしい。
けれど時すでに遅し。
魔王の怒りはとうに限界を越えていた。

「キヨちゃん…。」

「………。」

西村に目を向ければ、顔を反らされる。

「ハル…。」

「………。」

大川も同じ。

「タケちゃん…。」

「………。」

竹井にいたっては手を振っていた。

「薄情者!!鬼!!」

「自業自得だろうがッ!!」

三人の声が重なった。
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