第14章 喧嘩の渦
「………。」
放課後。
状況は朝と何も変わらない。
むしろ、悪化している。
前を歩く彼との距離がそれを現していた。
どんな仲の良いカップルでも喧嘩することはある。
けれど今までは直ぐに仲直り出来た。
だけど今回は違う。
時間が経つにつれ、状況は悪くなっていく。
「くだらない事で喧嘩して、楽しいの?」
隣を歩く清治君に尋ねられた。
楽しいわけがない。
「楽しくないよ。」
即答出来る。
でも、分かっているのに仲直りできないもどかしさ。
寂しさが募る。
「あれ?今帰り?」
後ろから聞こえてくる声。
振り向けば、三善先輩と藤崎先輩と西村先輩がいた。
「何で離れて歩いてんの?」
何故か痣たらけの三善先輩が首をかしげている。
「……えっと――。」
こういう質問は返答に困る。
振り向かずに立ち止まった誠也君を、チラリと見た。
「バカッ!!お前本当に空気読めねぇ奴だな!!」
ベシッ―――
「いてッ!!」
西村先輩が三善先輩の頭を叩いた。