第14章 喧嘩の渦
「………あ―――。」
吐き出す煙。
先程から小刻みに足が震えている。
苛立ちから来るものだ。
そういう時の彼には話しかけてはいけない。
彼の仲間だと誰もが知っていること。
二人は口を閉じていた。
清治はいまだ状況が理解できていないが、口を開かない。
シンッと辺りが静まりかえる。
ただ風が吹の吹く音だけが、彼等の耳によく響く。
バンッ――
「もうここしか……いたぁあああ!!」
しかし、仲間の中にも空気が読めない奴がいる。
その名は"三善翔真"。
空気読めない奴ランキング堂々の第一位の人間だ。
――最悪なのが来た。
西村は密かにそう思っていた。
それと、これから起こるであろう事。
想像するだけで身震いする。
「来ちゃいけねぇ時に来たみたいだな。」
「俺も思った。」
三善の後ろから出てきた大川と竹井は、誠也を見て何があったか一瞬で悟った。
皆の所に近寄る二人。
けれど、誠也から少し距離をとった。
"触らぬ神に祟りなし。"
要するにとばっちりはゴメンだということだ。
「何で誠也ちゃん怒っとるん?あ、また桜ちゃんと喧嘩したん?」
でも、空気を読めない三善は平然と尋ねる。