第14章 喧嘩の渦
「また、なんかあったん?」
笑いながら、入ってきた人物に藤崎が尋ねた。
「べつに。」
不貞腐れたようにいうと、彼等の所まで来たその者は腰を下ろした。
その者というのは、もちろん誠也の事。
不機嫌な雰囲気を醸し出していて近付きがたい。
「なんで、あんなに不機嫌なんだ?」
誠也に聞こえないように尋ねる清治。
「ちゃんとなんかあったんだよ。いつも、彼女と何かあるとああなるから。」
そう耳打ちしながらも、藤崎はまだ笑っていた。
カチッ―――
ジッ―――ジッ―――ジッ―――
「なんでつかねぇんだよ!!ヘボライターがッ!!」
火がつかないジッポーに、更に不機嫌になる誠也。
やっとの思いで煙草に火がついた。