第2章 命の灯火
「お前だけでも道連れにしてやる。」
振り向いたそこには、赤黒い血を纏った花村が薄気味悪く笑っていた。
――まただ。またこいつはあたしを……。
「嫌だッ!!」
あたしは激しく花村を睨み付けると前へと進もうと足を動かす。
「無駄無駄無駄!!お前はずっと俺と地獄で過ごすんだ!!」
花村の手に力が入った。
引きずられそうになる。
「やだやだやだ!!まだ死にたくない!!」
まるで幼い子供が駄々をこねるように叫んだ。
「往生際がわるい―――」
バコンッ―――
言いかけた時、花村の顔面に拳が入った。
ドサぁッ―――
花村が地面に倒れる。
ヤツの手から解放された手を触りながら振り向いた。
「だから、振り向くなっつただろ。」
そこには、先程別れたはずの上田さんが立っていた。
「こいつは俺に任せろ。」
ボキボキと腕を鳴らしている。
"ッ!!"
そして聞こえてくる聞き覚えのある愛しい声。
「ほらッ、いけ。」
上田さんがあたしの背中を押した。
ゆっくりと炎に身体が吸い込まれていく。
なんだか心地よい感覚が身体を覆った。