第13章 恨みの連鎖
―――どうしようどうしようどうしよう。
先程からお経のように頭の中で唱えているあたし。
宗次郎さんはなぜか笑っている。
そんな彼を誠也君はジッと見ていて、騒がしい人たちはとうとう乱闘を起こしていた。
「うるさいッ!!静かにしろ!!」
笑っていた宗次郎さんが、低い声色でハッキリと言った。
すると、制止の呪文をかけられたようにピタッと止まる。
「なに真剣な顔しとんねん、秋本ぉ。」
「嫉妬か?ガキ臭いわ。」
「これだからガキは…ブツブツ。」
今度は誠也君にまとわりつく例の三人。
まるで、酔っぱらいだ。
彼の顔がうっとうしいというように歪んだ。
「来んなよ!!俺に加齢臭が移るんだよ!!」
そして、シッシッと追い払っている。
「誰がジャ!!加齢臭なんかあり得んわ!!」
叫ぶ善司。
「秋本の言う通りや、めっちゃ臭ってんで?オッサン。」
加藤が鼻をつまんだ。
「いや、俺も実はそう思って――。」
九条も鼻を押さえた。
「誰がジャ!!めちゃくちゃ香水の匂いするやんけ!!…んでもって、誰がオッサンじゃ!!」
「だからその香水がキツイ言うてんねん。ジブンでは普通思うとるかも知れへんけど、周りはえらい迷惑しとるんや。それぐらい常識やで?」
「そうそう。」
加藤の言葉に九条と岩中の若 中が頷く。
「おどれ等、犬猿の仲やなかったんか!?それに、なんでおどれは岩中の奴等と一緒になっとんじゃ!!」
バシッ――
善司が、九条の頭を叩いた。
「すいません、つい……。」
九条が頭を押さえて謝った。