第13章 恨みの連鎖
「………。」
無言で進む足。
「せ…いや君。」
戸惑っている彼女。
「………。」
宗次郎が無言で振り向いた。
「……なんで、あんたがここにいんだよ。」
出来るだけ平静を装って、尋ねる。
「偶然…それで君は納得するか?」
何かを見透かしたように淡々と答える宗次郎。
自分よりも見た目も考えも遥かに上で、更に苛立ちが募る。
「わからねぇ。」
敬語を使う余裕もない。
「あ…あのね、誠也君。」
「黙ってろ。」
彼女の声に耳を傾ける余裕も。
ただ、今にも殴りかかりそうな衝動を押さえるだけで精一杯だ。
「…本当に嫉妬深いな。」
宗次郎が鼻で笑った。
「うるせぇ、バカにしてんのか?」
キッと睨み付ける。
「いや、ただ思った事を言っただけだ。」
「…それがムカつくんだよ。」
「そうか、それは悪かった。」
表情を変えないまま、宗次郎は吐き出す。
大人の謝り方。
俺にはとうてい真似出来ない。