第13章 恨みの連鎖
「黙って聞いとりゃあ、誰がオッサンじゃ!!」
いつの間にか加藤の後ろにいた善司が哮(たけ)った。
その声が、壁や天井に反響して耳に響く。
「…協定破ってどないすんねん!!というか、不意打ちは卑怯や!!」
頭を押さえながら加藤が振り向いた。
「卑怯もへったくれもあるかい!!それに協定は破っとらん。手振り回したら、"偶然"当たっただけじゃ。」
ニヤリと善司が笑った。
「……。」
バチンッ―――
「ぶッ―――」
一瞬静かになったかと思うと、加藤の手のひらが善司の頬に当たった。
それも激しく。
そのため、善司の頬に赤い紅葉が咲いていた。
「いきなり何しとんジャッ!!」
「すまんすまん。素振りしよう思ったら、"偶然"当たってしもうたわ。」
今度は加藤がニヤリと笑った。
前も思った事だが、この二人本当に争うレベルが低い。
バコッ――
「ッ―――」
そう思っている間に、加藤の後頭部に肘がぶつかった。
「あー、"偶然"当たったわ。」
九条だ。
ここにも同類がいたか。
あきれてしまう。