第13章 恨みの連鎖
居ろと言われて、素直に居る俺じゃない。
拓もきっとその事を分かっているはず。
ずっと一緒にいたツレだから。
「どうかした?」
清治がジッと俺を見ている。
「いや、山代組が――。」
そこまで言うと、立ち上がりフェンス越しに下を見る。
そこには無数に止まる車が。
「…なんで?」
見覚えのある白いランクルもあった。
加藤のオッサンの車だ。
間違えない。
「うわぁ、すげぇ車来てる。」
怯えるようすもなく、笑いながら清治もフェンスの前に立った。
「笑い事じゃねーよ。お前、捕まったら殺されて埋められるぞ?」
真剣に清治を見る。
「分かってる。でも、どうしていいかわかんねぇ。だから、笑うしかねぇじゃん。」
上がっていた口角が、徐々に下がっていく。
フェンスに触れた清治の手が微かに震えている。
強がっていても、恐いものは恐いらしい。
したっぱではなく、あの鼻傷オッサンが。
まぁ、見た目はバカっぽいけど、強い事は分かっている。
俺も、あのオッサンに勝てるかどうか定かではない。
だから、清治の気持ちも分からないわけでもない。
だけど、ここまで来られてはかばいようがない。
ここは、素直に拓の言うことを聞くべきか。
再び腰をおろした。