• テキストサイズ

レッテル 2

第13章 恨みの連鎖



居ろと言われて、素直に居る俺じゃない。
拓もきっとその事を分かっているはず。
ずっと一緒にいたツレだから。

「どうかした?」

清治がジッと俺を見ている。

「いや、山代組が――。」

そこまで言うと、立ち上がりフェンス越しに下を見る。
そこには無数に止まる車が。

「…なんで?」

見覚えのある白いランクルもあった。
加藤のオッサンの車だ。
間違えない。

「うわぁ、すげぇ車来てる。」

怯えるようすもなく、笑いながら清治もフェンスの前に立った。

「笑い事じゃねーよ。お前、捕まったら殺されて埋められるぞ?」

真剣に清治を見る。

「分かってる。でも、どうしていいかわかんねぇ。だから、笑うしかねぇじゃん。」

上がっていた口角が、徐々に下がっていく。
フェンスに触れた清治の手が微かに震えている。

強がっていても、恐いものは恐いらしい。
したっぱではなく、あの鼻傷オッサンが。

まぁ、見た目はバカっぽいけど、強い事は分かっている。
俺も、あのオッサンに勝てるかどうか定かではない。

だから、清治の気持ちも分からないわけでもない。
だけど、ここまで来られてはかばいようがない。

ここは、素直に拓の言うことを聞くべきか。

再び腰をおろした。


/ 542ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp