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レッテル 2

第13章 恨みの連鎖



「…。」

彼が顔を反らした。
悔しそうに唇を噛んでいる。
そして、離れていく松崎君の手。
彼が握っていた場所に微かに温もりがある。

「兄貴、捕まえました。」

振り向くアザだらけの男。

「連れてこい。」

低い男の声色。
身体が引きずられていく。
抵抗する気力もない。
というより、するつもりはない。


あたしが逃げれば、必ず誰かが被害に遭う。
最悪の事態は避けるべきだ。


どんどん離れていく松崎君に背を向けた。




「兄貴に頼まれて来てみれば、九条(くじょう)…やっぱ来とったか?ジブン等恥ずかしくないん?それにここは、人のシマやで?協定まもらなアカンで?」

すると突然聞こえてきた関西弁。
聞き覚えのある声。
無数の足音。

「加藤ぉ………。」

九条と呼ばれた男の眉間にシワが刻まれる。
思わずあたしは振り向いた。

「よ、久しぶり。元気にしとったか?」

そこには、時期外れのいつもの扇子を扇ぐ加藤と岩中の若衆がいた。



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