第13章 恨みの連鎖
あたしの手を引っ張って走る松崎君。
無条件であたしも走る。
「待てコラぁッ!!」
後ろからは男達の叫び声と足音が聞こえてくる。
だんだん近づいてくる足音。
確実にあたしが足手まといだ。
それに、これはあたしの問題。
松崎君には関係のないことだ。
「もう…いいよ松崎。」
走りながら息と共に吐き出す。
少々肺が苦しい。
「よくねぇ!!捕まったら何されるかわかんねぇんだ!!それに――」
松崎君の握る手に力が入った。
「守るっていったろ?」
振り向いた彼の顔は無邪気に笑っていた。
けれど、無情にも迫って来る男達。
もう後一メートルもない。
このままでは松崎君も巻き添えをくらう事になる。
それは避けたい。
行為は嬉しいけど、
「もう、本当にいいんだよ。」
動かす足を止めた。
彼の手にそっと触れる。
「きっと大丈夫。」
緩む口角。
ガシッ――
男達の手があたしに絡み付く。