第13章 恨みの連鎖
「いませーん。」
声が聞こえてきた。
麻央だ。
「いないよねぇ?」
麻央達が必死に否定してくれている。
「オッサン、このクラスに可愛い奴がおると思う?おらんよな。」
「おらんおらん、ブスばっか。」
松崎君達もだ。
"みんなが助けてくれている"
そう思うと胸が熱くなった。
――ありがとう。
心のなかで呟く。
「ホントか?ガキの言うことは信用できん。おい、一人一人顔を見てまわれ。」
「へい。」
けれど、男の言葉に部下であろう男達が一人一人顔を見はじめた。
――もうダメだ。
絶望が胸を過る。
教科書をおいて、覚悟を決めた。
「来いッ。」
すると、松崎君があたしの手を取って立ち上がった。
あたしも立ってしまう。
そして、走り出す。
「何しよんや、ガキ!!」
男達の目がこちらに向いた。
「あっ!!あの女です!!」
指を指される。
「つかまえろ。」
男の言葉と同時に教室を出た。