第13章 恨みの連鎖
「…だってさ、女と喧嘩してもなんにも楽しくねーじゃん。むしろ、めんどくさそう。」
清治は俺を見ずに無表情でそう吐き出すと、清治は煙草を取り出しフィルターをへし折った。
地面にポトリと落ちるフィルター。
無意識に目がそれに向く。
「だから女と付き合うのって嫌なんだよな、俺は。」
短くなった煙草をくわえてライターで火を着けた。
ゆらゆらと煙が上がっている。
「…そりゃあ、女と喧嘩すんのは楽しくねぇ。めんどくせえだけだって、俺も昔は思ってた。でも桜と付き合って、その考えが変わった。守りてぇって思うんだよ……どんなことしても。」
口から煙と共に言葉を吐き出した。
それがかえって悪循環を引き起こしている原因かもしれない。
それは薄々分かっていた。
けれど、守りたい気持ちを簡単に揺るがす事は出来ない。
愛しているから。
「…わかんねぇ。秋本さん達といるとわかんねぇことだらけだ。」
「そうかよ?」
「……あぁ。」
清治は小さく頷いて、煙草の煙を吸い上げた。