第13章 恨みの連鎖
ダチに嘘をついて今いるのは屋上。
一人になるには最高の場所。
突き刺さるような北風も、冷えたコンクリートの地面も気にならない。
ただ一人になりたかった。
それだけ。
ふと、横を見ると一冊の雑誌が落ちていた。
普段なら気にならないような物だが、手に取ってしまった。
なぜなら表紙に、
"特集、彼女と仲直りするコツ"
と書かれていたから。
「……くだらねぇ。」
そう言いつつもページをめぐる手が止まらない。
気づけば最後まで読んでいた。
"仲直りしたければ素直になること。"
結局書かれていたのはそれだけ。
後は下らないうんちくだとか、恋愛にたいしてのノウハウが書かれているだけ。
しかも、当たり前のような薄っぺらい内容。
「……まんまじゃねぇかよ。つーか、なれりゃあ苦労しねぇよ。」
雑誌を投げ捨て、煙草を取り出した。
降れば出てくる煙草。
それを手に取る。
くわえてジッポーで火を着ければ出てくる濁った煙。
全部当たり前の光景。
――なんで世の中当たり前の事ばっかなんだよ。
俺は誰かの敷いたレールの上を走るのは嫌いだ。
だから、いつも脱線している。
いや、自ら新しいレールを作ろうとしている。
ダチと共に。