第13章 恨みの連鎖
「おはぁ。」
教室に着くと、麻央達が言った。
「おはよ。」
あたしは笑顔で応え、鞄を机の上に置く。
そしてチャックを開け、中から財布を取り出そうとした。
売店で昼御飯を買うためだ。
「あれ?」
すると中に、ピンクの布袋が入っていた。
それは、あたしがいつも使っているお弁当の袋。
開ければちゃんとお弁当と箸箱が。
――きっと誠也君だ。
直ぐに分かった。
ジーンと込み上げてくる熱いもの。
彼の優しさが心に染み渡る。
携帯を取り出し打ち込んだ。
"お弁当ありがとう"
後は送信だけ。
でも指は止まった。
画面には文字盤と入力した文字が映っている。
どうしても押せない送信の文字。
「……。」
迷った挙げ句、押したのは削除ボタン。
余計辛くなった。