第13章 恨みの連鎖
少し前を歩く彼。
その後ろをあたしが歩いて、そのまた後ろを清治君が歩く。
まるで蟻の行進。
一部の人間が好奇の目で見ていた。
電車で揺られていても何も変わらない。
話さない事も、車内が満員だということも。
でもただひとつ違うことがある。
黙って彼が抱き寄せてくれたこと。
その後ろを清治君が立っていること。
きっと、また痴漢されないようにかばってくれているんだ。
また、彼の小さな優しさに触れた気がした。
プシュー―
ドアが開くと同時に溢れる学生の波。
ほとんどが自分の通う学校の生徒。
ほんの少し西康の生徒。
その波に乗るようにあたしたちも電車を降りる。
改札口を出て、学校へ真っ直ぐ向かう。
今日は弁当を作れなかったからコンビニへ寄ろうと思うが、足がそちらへ向かない。
結局、寄らずに学校に着いた。