第12章 真の家族
今まで感じたことのない感覚。
誰かを好きになったことも、付き合ったこともある。
だけど、こんな気持ちになったのは初めて。
――無視されたことなかったし。
そう思うと、あたしは彼にすごく大事にされているんだとつくづく感じた。
それに、勇人君はあたしみたいな人間でも大好きだと言って笑ってくれた。
彼が今までどんな気持ちで本当の親を待っていたか知るよしもないあたしに、家族と言ってくれた。
嬉しかった。
勇人君がそう思ってくれているなんて思っていなかったから。
あたしの本当の家族はパパとママと棗だけど、誠也君も勇人君も、勿論清治君だって家族だとあたしも思っている。
本当の家族とは変わらないほど、
"真(まこと)の家族"
そう呼べる人達。。
あたしはそれに出会えた幸せ者。
彼はどう思っているだろうか。
そっと目を閉じて考えた。