第12章 真の家族
「こんな時は、上田さんと一緒にバイクころがしてぇなぁ……。」
初めて上田さんのバイクの後ろにのせてもらった時の感覚、今でも覚えている。
風が気持ちよくて、流れる景色が遅く感じた。
まるで自分だけの世界を走っているようで、興奮した。
"はしゃぐなよ、あぶねぇから。まぁ、はしゃぐ気持ちもわかるけどな。"
笑いながら言った上田さん。
――もう一度、乗りたい。あのバイクの後ろに乗って風になりたい。
もう、叶わない夢。
――きっと嫌な気持ちもぶっ飛ぶ。
考えてもむなしくなるだけ。
「………っ――。」
目頭が熱くなった。