第2章 命の灯火
走って走って走り続けると、遠くになにかが見えた。
まるで大好きな彼の頭のような真っ赤な火の玉。
微かに揺れている。
それは小さくて今にも消えてしまいそうだが、なんだか愛しく感じた。
あたしはそれに向かって走った。
死人を振り切って走り続けた。
あと少し、あと少しで……。
必死に手を伸ばす。
あと数センチ。
ガシッ――――
あと数センチなのに身体が前に進まない。
必死にもがいても、進まない。
手首にひんやりとした感覚がある。
「行かせはしない、お前は俺と行くんだ。」
聞こえてきた聞き覚えのある声。
あたしはゆっくりと振り向いた。