• テキストサイズ

レッテル 2

第12章 真の家族


「…ただ、兄貴と姉御がずっと仲良しでいてほしいだけ……家族だから。」

風呂上がり。
リビングに向かう途中、勇人の声が聞こえてきた。
思わず立ち止まった。



"家族"


その言葉が、心に染み渡る。



クシャ……




乾いたばかりの前髪を掴んだ。


「大好きなんだ俺。兄貴と姉御が笑っているところを見ると、幸せな気持ちになれる。」


勇人がそんな風に思っていたなんて知らなかった。
それどころか、小学生の弟にまで心配かけている。


情けねぇ…。


「だからさ、兄貴と別れるなんて絶対に言わんで!!」

もう、これ以上ここにいたくなかった。
自然と足が二階に向かっている。

いつもならなんでもない階段が高く感じて、上げる足がなぜか重たい。
それは、今の心と比例していた。

/ 542ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp