第12章 真の家族
「そう思ってるのは自分だけかも知れないよ?」
「……え?」
「心あたりない?」
「………。」
言われてみればたくさんある。
彼意外の人と身を重ねた事もあるし、キスだってある。
毎度毎度、不安にさせてるってわかってるくせに真逆の事をしている。
あたしの自分勝手な行動が彼を追いつめているのかもしれない。
本当はあたしは彼といない方がいいんじゃないの?
"資格とか関係ない"
その気持ちが揺るぎそうになる。
あたしは、顔を隠すようにクシャリと髪を掴んだ。
「責めてるんじゃないよ。…ただ、兄貴と姉御がずっと仲良しでいてほしいだけ……家族だから。」
勇人君は無邪気に笑った。
"家族"
その言葉がじーんと心に染み渡る。
なんだか最近、急に勇人君が大人びて見える。
姿じゃなくて、心が成長しているのだろう。
身近な者の小さな成長に喜びを感じた。