第12章 真の家族
ジャー――
勢いよく蛇口から出た水がシンクに流れている。
汚れた食器を目の前に、泡のついたスポンジを握っている。
何で俺はこんなにガキくせぇんだ?
――ガチャッ
そう思いながら荒々しく掴む食器。
スポンジで激しく汚れを落とす。
無視とかねぇだろ。
「はぁ……。」
深い溜め息を吐きながら、次の食器に手をかけた。
「何で秋本さん機嫌悪いんだ?」
ソファーに座る清治が、声を潜めて言った。
「ヤキモチ妬いてんだよ。」
同じくソファーに座っている勇人も、声を潜めて言った。
「ヤキモチ?誰に?」
「さっきの―――」
「勇人。」
余計な事を言いそうな勇人を、振り向かずに制した。
「うるさいなぁ。」
勇人の不貞腐れた声が聞こえてくる。
俺はそれを無視し、黙々と食器を洗った。