第12章 真の家族

ザァァアア――――

頭上から降り注ぐ雨のようなシャワー｡
彼から逃げるようにお風呂に入った｡

彼が怒っている理由は分かっている｡
きっと宗次郎さんの事｡

だけど､無視するなんて度が過ぎると思う｡
それにあたしは､彼の事を心配して宗次郎さんの助けを借りたのに――｡

｢余計なお世話だったのかな……｡｣

あたしの小さな声は､シャワーの音に消えていく｡

体を包み込む泡｡

――このまま､彼の機嫌がなおるまで泡となって姿を隠したい｡

そんな非現実的な事が起きたらどんなに楽だろうか｡
そう思いながら身体を洗い流す｡


カチャ……

洗い終わったあたしは､湯気と共に浴室を出る｡
ふわふわのタオルで､身体を拭きあげる｡
下着をつけるさいも､パジャマを着る間も考えるのは彼の事｡



寂しさが心を支配した｡