第12章 真の家族
「どうしてたんだ?」
車を降りた桜達に、誠也が尋ねる。
「あのね話せば長くなるんだけど……一言で言えば、あたしが宗次郎さんにたのんだの。」
「たのんだ?」
「うん、携帯で。」
そう言ってにっこり笑う。
けれど誠也は顔を歪めた。
彼の中にモヤモヤしたものが現れる。
それはどんどん心を侵食していき、苛立ちを生み出す。
要するにヤキモチだ。
「本当にありがとうございました。」
そんなことを知るよしもないは笑顔で宗次郎にお礼を言った。
「いや、気にするな。」
一方の宗次郎も微かに笑みを浮かべている。
「………。」
それがなお、誠也の苛立ちを煽(あお)る。
「…あーあ、また始まった。」
それに気付いたのか、勇人が小さく呟いた。
清治にいたっては、帽子を深くかぶり顔を隠している。
だから状況を理解出来ていない。