第12章 真の家族
「お前がやったんか?」
開いた口がギュッと閉まる。
ギリギリと奥歯を噛みながら、尋常じゃない目付きで善司は宗次郎を睨み付けた。
「そんなわけないだろ、通りかかったら倒れていた。」
「そんなの信用出来るか!!」
「ならば、本人達に聞け。…もちろんお前のシマでな。」
「………わかった。お前等帰るぞ。」
「へいッ。」
車に乗り込む男達。
勿論、気絶した者も乗せられる。
エンジン音と共に走り去っていく。
やっと帰ったか。
誠也はそう思いながらホッと溜め息を吐いた。
「迷惑かけたな。」
「いや…アンタのせいじゃないだろ。」
「そうだが、西條会の人間が迷惑かけたことには違いない。それに――」
ズラッと並んだ岩中の車。
その一番後ろの車の前に宗次郎は立った。
そして、開けられる後部座席のドア。
「おいで。」
宗次郎が手を差し出す。
「すいません。」
そう言って、その手の上にそっと手を置いた者が、ゆっくりと車から降りた。
スモーク張りの窓のせいで顔が見えないが、誠也はその声に聞き覚えがあった。
あることへの期待が胸を踊らしている。
「誠也君。」
綺麗な声と共に現れる綺麗な笑顔。
がそこにいた。