第12章 真の家族
「で、用事というのはなんだ?」
「ガキじゃガキ。うちの若いもんに手だした銀髪の中坊が、こっちに逃げたんジャ。」
「……くだらん。」
溜め息と共に宗次郎が吐き出す。
「なんやと?」
ジロリと善司が宗次郎を見た。
「子供相手にムキになって、恥ずかしくないのか?」
再び鼻で笑った。
「それはおどれ等の話やろが!!山代は、たとえガキでもケジメはつけさせる!!だから岩中は――」
そこで善司は口を閉じた。
「…岩中がどうした?」
宗次郎の目がギラリと光る。
不穏な空気が流れた。
「…とにかく、これは山代の問題ジャ!!お前は口出すな!!」
善司はそう言うと、ズボンのポケットから煙草を取り出しくわえた。
「…俺はその事については口を挟むつもりはない。だが、流石にこの車の量は一般人に迷惑だ。それに、お前の組の人間は道路で寝るのが趣味なのか?」
「は?」
開いた口。
くわえた煙草が離れていく。
岩中の若衆達に、引きずられるように連れてこられる気絶した男達。
山代の若衆だ。