第11章 漆黒の棺桶
ブチッ―――
「……つまんねぇ。」
煙草のフィルターを取った清治君がそれをくわえた。
「なんで…取るの?」
「あ?」
「煙草のフィルター。」
見たことのない光景に思わず尋ねた。
「こっちのが、気持ちいいんだ。」
そう言って煙草に火をつけた彼。
そういうものだろうか?
あたしは首を傾げる。
あたしだって煙草を吸った事はある。
でも、キツくてあまりあたしにはあわない。
だから最近、全くと言っていいほど吸っていない。
「あんたも吸ってみれば?」
煙草を取り出した清治君があたしに煙草を差し出す。
「あ…あたしは大丈夫。」
それをやんわりと断る。
「あぁ、そう。」
再びしまう煙草。
くわえた煙草の先からユラユラと煙が出ていた。