第11章 漆黒の棺桶
「おどれよくも――。」
飛びかかってくる男達。
バコンッ―――
1人の男の鳩尾に入る拳。
「オゲェ―――」
ボタボタと透明な液体が口から垂れている。
「あのオッサンじゃなければ、余裕なんだよ。」
そう言って他の男達にも殴りかかる清治君。
ゴシャあッ―――
アスファルトに食い込む頬の肉。
トガぁッ―――
拳が肉に擦れる音。
ドザァ―――
男達が地面に倒れるのに時間はかからない。
「あがっ―――」
「ぎゃあぁぁああ!!」
彼等の悲鳴も、なんの意味のない効果音と変わらない。
ただ。踏まれる骨の耳障りな音が、あたしの耳に居座った。