第11章 漆黒の棺桶
「…ふーん、わかんねぇ。」
彼はそう呟くと、帽子を一度脱いで頭を掻いた。
綺麗な銀色の髪が乱れる。
「あ!!アレ、クソガキと違うか!?」
突然聞こえてきた声。
「ホントや!!はよ捕まえんと若に殺される。」
振り向けば男達が此方に向かって走ってきている。
人数は6人。
距離が無いため、あたしはとうてい逃げ切れない。
「逃げて!!」
清治君に叫ぶあたし。
「…こいつ等ごとき逃げる必要もねーよ。」
けれど、彼は男達に向かって歩き出した。
ボキボキと拳がなっている。
「アンタは恐いなら逃げれば?」
帽子の下の目があたしに向いた。
「…大丈夫。」
「あぁ、そう。」
清治君はそう言うと、再び男達に目を向けた。