第11章 漆黒の棺桶
"お前らは隠れてろ。"
そう言って車の方へ進んでいった誠也君の言う通り、あたし達二人は道の曲がり角に身を隠した。
そっと様子をうかがってみれば、彼と善司さんが話していた。
会話は聞こえないけど、あまり穏やかとは言えない。
「……なんで他人の為にそこまでできんだよ…あんた等。」
清治君がポツリと呟いた。
「だって家族だから。」
あたしは振り向いて笑った。
そう、彼の仲間はみんな家族。
勇人君も、先輩達も、族の兵隊達も。
だから彼は、清治君の事もきっと家族のような仲間と思っているにちがいない。
「…意味わかんねぇ。」
首を傾げている清治君。
「その内分かるよ。」
またにっこりと笑った。