第11章 漆黒の棺桶
「言えよ。別に言われた所でなんにも害はねぇけどな。」
そう言って誠也君は煙草に火をつけた。
ユラユラと煙が上がっている。
「なんて男なの。顔も悪いくせに、性格も最悪。」
女が吐き捨てるように言った。
ブチッ―――
さすがに我慢の糸が切れた。
「じゃあ顔が良ければいいの?男は佐々木君みたいにかっこよくないといけないの?誠也君の良いところ何も知らないくせに、そんなこと言わないで。」
キッと女を睨み付けるあたし。
「なによ…。」
女が怯んだ。
「まぁまぁ、喧嘩はよくないよ。」
にこにこと笑ってなだめようとする佐々木君。
「帰るぞ。」
興味無さそうに、誠也君が足をひるがえす。
「うん。」
あたしも後に続く。
「骨は?」
いまだに動かない清治君。
「帰るぞ。」
また、誠也君が言った。