第11章 漆黒の棺桶
「はいはい。」
軽くあしらうあたし。
馴れというものは恐いものだ。
なんでも受け入れられる。
「逆らうと犯すぞ。」
「そういうこと言うのやめて。」
でも例外もある。
強い口調で言いながら松崎君を見るあたし。
例え彼の性格だとしても、これは許せない。
女は男の性の道具じゃないのだから。
「……わかったよ。」
ふてくされたように前を向く彼。
あたしはホッとため息をつく。
松崎君の事は嫌いではないけど、考え事をしている時に誰かの相手をする余裕がないだけ。
あたしは黒板に書かれている事を写し始めた。
カサッ―――
すると、突然目の前にクシャクシャになった紙が飛んできた。
松崎君だ。
広げて中を見る。
"俺の事嫌いになるな"
汚い字で荒々しく書かれた文字。
ここでも、彼の性格がにじみ出ている。
思わず笑ってしまった。