第11章 漆黒の棺桶
「普通に考えてヤクザに手出すとかバカだろ…て目の前にもそのバカがいるけどな。」
そう言って清が俺を見た。
「あ?」
俺の眉間にシワが寄る。
「だってお前も岩中興業の事務所に突っ込んで行っただろ。」
「あぁ、しかも一人でいってたな。」
清の言葉に拓が頷いている。
「バーカ、ヤクザだからってビビってどうすんだよ。それに――」
いいかけて口をつぐむ。
――を助けに言ったのに結局は心配かけちまったんだよな。情けねぇよ本当に。
クシャリと髪を掴んだ。
「人造人間並み――。」
「清。」
「――あぁ……わりぃ。」
いいかけた清を拓が制する。
それ以上、清は何も言わなかった。
拓も。
清治はジッと帽子の下から俺を見ている。
突き刺さるような視線を感じた。