第11章 漆黒の棺桶
「どうしましたか?」
近くにいた駅員が近寄っていた。
「このオッサンが、俺の女に痴漢しやがったんだよ。」
不機嫌そうに誠也君が言った。
「痴漢?…あんたちょっと来なさい。」
「…おっ俺は何も――。」
駅員に連れていかれる男性。
まだ認めていない。
「あぁん?」
誠也君の目がギラリと光った。
「…痴漢しました。お願い!!早くつれてって!!」
「は?」
誠也君の般若の面のような顔を見た痴漢が、ひどく脅えだした。
駅員は訳の分からないというような顔をしている。
とりあえず彼等の後ろについて行った。