第11章 漆黒の棺桶
翌朝。
「あ、おはよう。」
「……ッス。」
二階から降りてきた清治君に声をかけた。
昨夜、少しだけ事情を説明してくれた彼。
今は誠也君の黒いスエットとキヤップを見にまとっている。
誠也君いわく、"変装"らしい。
「つーか、オメェ今日どうすんだよ?」
「……。」
食卓に座った誠也君の問いに答えずに、清治君はダイニングの入り口でジッと立っている。
「俺の学校来るか?まぁ、あそこなら普通に大丈夫だろ。…というか座れよ。」
こんがりと焼かれたトーストの上に、濃厚なバターをたっぷり塗りながら誠也君が言った。
「そうだよ、こっちにおいで。」
手招きするあたし。
「清治君、緊張してんの?」
同じく食卓に着いた勇人君がジッと清治君を見ている。
「……べつに。」
小さく聞こえてくる声。
やっと、清治君が食卓に着いた。
「コーヒー大丈夫?」
「………はい。」
あたしの問いに彼は小さく答えた。